地方公務員の一般事務員ですと、まず当面、面白い仕事は確実にありません。ネガティブで申し訳ありませんが、率直なところです。
特に採用された直後、張り切っていればいるほど、しばらくはがっかりしてしまうものなのです。これをいかにポジティブに捉えられるか、そこに次の関門があるのです。
これをどうにも受け入れ難いと言う人もいるものです。特に能力に自信がありそこそこのプライドがある人は、そうなりがちです。
では、プライドは邪魔なのか、と言えばそんな事は無いでしょう。自分に自信を持つ事は、大切な事なのです。
一方、まぐれで受かったような人は何をやらされても全然平気でバリバリこなしていくのです。どうしてもこちらの方が高い評価も受けられるでしょう。ここに地方公務員の難しさがあるのです。
具体的には、概ね以下のような作業員と思っていれば、正しいところです。
●会計伝票にひたすら受付印を押しまくる。
●1+1+2+1=?これくらいの計算で電卓を叩きまわる。関数電卓なんかまるで使う機会はありません。
●右の帳票と左の帳票で数字の違いは無いか、ひたすらチェックしまくり。
●税金の未納者がいれば、ひたすら電話をしまくり。
●何人にも何回も同じ事を言い続ける。
●ひたすらイエスマンになる。年食ってるだけでただの未熟な経験からの思い込み発言による指示は受けるものです。それは「その通り」と淡々と上司の後押しをする。正義の味方よろしく食い付いてはいけない。こうしてれば、業務で失敗しても悪役をやらされる事はあまり無い。
●その長年の習慣からか、無駄にきちんと仕事をさせられがち。
●膨大な量のデータを入力しまくる。
●おろそかにすると大変な目に会ういソフトボール大会の準備。
●住民のためになる仕事が出来ると思わない方が仕事が出来る。
●公務員は役職になるとそれも田舎になるほど、妙にプライドが高い。ひたすらご機嫌を取りまくるのが仕事の中心になる。それは夜の接待まで続く。
さあ、大丈夫ですか?
公務員はボランティアを強制させられる
ボランティアとは、強制されてするものではありません。公務員ですと、ボランティアを業務命令でさせられます。
でも給料が出ますから、ボランティアとは言わないのでしょう。業務に関係の無い動員がかかると言う意味でのボランティアです。
都道府県の職員は、身障者国体が自分の都道府県に回ってきた年は、ボランティアをすることになってます。
行政職員も技術職員も全く関係なく、他県の選手団のお世話につくことになってます。事務屋さんは何でも屋ですので頼まれれば請負うのは慣れたものではあります。
しかし、技術屋さんはある意味、専門外になるとさっぱりふるいません。そもそもそんなつもりで公務員になったつもりもありません。約半世紀に1回しかないので、いちいちそこまで気にする必要はありません。
この次、自分とこの県にやってくる頃には、もう退職しているはずです。
人にもよるのでしょうが、正直、何か情けない思い出しかありません。朝、早くに家を出発して選手団の泊まっているホテルにお迎えに上がります。
バスに誘導して一緒に試合会場まで同行して、一日中小間使いをする訳です。いくら身障者さんの団体だからと言って、それなりに自前の介護要員も同行してきています。
そこまで「お・も・て・な・し」せんといかんのか。要らんことしても失礼になりそうだし、知らん顔し過ぎてももちろんいけません。
ここで他県の身障者との交流を深めるのが大事な仕事なんでしょう。そうです。それはとても気が疲れるのです。
アップで見る片足義足の短距離走の練習には、迫力もありました。ちょっとだけ感動もしましたし、お話もして交流もしたつもりです。しかし、それも5日間の大会期間中ずっとになるとだんだん寂しくなりました。
選手団が会場に行っている間は、野ざらしの控えテントの見張りも頼まれました。じっとしてればいいだけで、それで給料になるんだから羨ましいと言われればそうかもしれません。
でも、もっといい仕事を選べば良かった。自分にはそれが出来たはずなのです。
高校時代の変な同級生が上司になる
地元の地方公務員になると、周りに学校時代の知り合いも見かけるものです。そこのところを軽く考えてはいけません。「あの人がなんで俺の上司なの?」という思いにさらされるかもしれないのです。
もちろん、少なくとも自分にはちゃんとした人事だとは思えないでしょう。でも、人事は字の如く他人事なのです。
決まったマニュアルどおりに人を動かすだけです。誰と誰は元、同級生だとか、そんなことでどうしようなどというマニュアルはありません。そこまでの情報がある訳もありません。
昔はとても変な奴くらいに思っていた奴が、自分の上司に来た時はそれは情けないものでした。
どうしてもがっくりしてますから、仕事も気合いがもうひとつ入りません。すると、評価もしっかり下げられます。その辺は妙にきちんとしてます。
その彼が自分の上司に来た理由は分かります。自分は大学に入るのに浪人したのです。でも、当時は気にもしてませんでした。
むしろ嫌いな高校で頑張って現役で大学に入るつもりは全くなかったのです。ですから、高校の同級生が現役で大学に入っていても、全く劣等感はなかったのです。
それが、社会人になって見事に覆されてしまいました。彼は彼で自分の方が勉強ができるのは分かっていましたから、その反動といいますか、自分には強く当たってきたのです。
「人間の心理とはこんなに幼稚くさいものか」と呆れ返るばかりでした。「彼は自分より頭が悪い」と内心、思ってましたからどうにもやりづらくてかないませんでした。
おまけに仕事は忙しく夜な夜な残業でほぼ一日中、顔をみるはめになっていたのです。
それでも組織ですから、上司は上司なのです。なるべく高校時代のことは忘れて、やり過ごしていってはいましたけど、目に見えぬメンタルダメージはあったのでした。
それを実感するのは、それから数年も先のことではあります。思い出すたび「あの時の上司が全然知らない人だったら少々問題ある人でもまだ良かったはず」と確信しています。
そんなことよりソフトボール大会
「税金未納者に督促電話なんかしてる場合じゃなかろうがあ!」
「そんなのどんだけ成果があるんだよ!」
「そこそこ去年並みの徴収率をクリアしとけばいいのよ!
「要らんことせんで、来週はソフトボール大会だぞ!」
「今年くらいは、優勝狙おうじゃないか!」
「そうだろっ、気合いを入れな仕事にならんぞ!」
「来週の日曜はもうすぐだぞ」
「練習はどうするの?計画表はまだ出来んのか?さっさと作らんかい!」
「メンバーは決まったの?あいつは出すなよ!」
ソフトボールが大好きな良くいる地方公務員の口から、普通に飛び交っている言葉の数々です。仕事どころじゃないと言った意味の分からない上司の戯言と、軽くかわす訳にも参りません。
どんな上司でも取り入らなければ、何をやっても自分が評価されることは無くなります。
それは民間人でも同じようなところもあるのでしょう。「公務員だから平等だ」とか気安く構えてたら大間違いです。「右向け」と言われたら右向かなければ、将来は有り得ないのです。
それはそれで良ければいいのですが、そのまま右向いたら県民のためにはならないこともいっぱいなのです。
上司はそのまた上司に気に入られないとまずいのです。良くも悪くも何でもかんでも次々、トップダウンしてきます。
こうして負のピラミッドによる仕事が完結するのです。分かってはいても、組織に生きていればそうならざるを得ません。悲しいと言えば、あまりに悲しい現実もあるのです。
会計規則だなんて何なのこれ?
めでたくあこがれの公務員に就職したのは良かったけど、職種を行政職にしたのは失敗でした。最初に赴任したのは、会計担当でした。
各部署の総務担当が作成してくる膨大な支払伝票とその証拠書類が、会計規則に乗っ取って作られているかチェックをする仕事です。
まず、するのは伝票に受付印を押しまくるのです。まさに単純作業です。それから伝票の日付、数量、金額が間違っていないか等のチェックをします。
これだけなら、それは誰かが当然するべきことなのでしょう。しかし、会計規則というのはそこまでに留まりません。一体なぜこんなにややこしい規則にしたのか、作成者の顔が見たくなるようなものなのです。
それは、行政職の仕事は様々なのは分かっていました。おおよそ意味の分からない、誰のためになっているのか分からない仕事で追われるのは情けないものでした。
「地域住民のためになる仕事がしたい」などと本気で思っている人には、つらい仕打ちが待っているのです。「規則がそうなっているんだから、そうしなくては駄目なのだ」これが仕事の価値観でしかないのです。
「転勤すればそんなことはない、少しの間のことだ」とじっと腰を据えてやり過ごしたのではあります。そしてまた、めでたく転勤し、しばらくは気分転換もできたものです。しかし、それはつまるところやっぱり同じことになったのです。
そもそも、自分は理工系学部の出身でした。理論的に誰も説明もしてくれない仕事内容では、それなりの気持ちしか入れられないものです。
当然ですが、会計規則のどこを見ても好きな数式は見当たりません。それもなんだか寂しいものがありました。
だんだん「自分は落ちこぼれてしまったんだ」との気分にさいなまされるのでした。メンタルヘルス上、これは危険な状態だったと思います。その時に、なぜすぐ辞めなかったのか後悔しています。
今頃、辞めても年を取り過ぎてなかなか思うような就職はできませんし、気力も湧きにくいものです。将来の生活が心配になっても、今更、無理な職種で就職もしたくもありません。
サービス残業がのしかかった
公務員なんだから、それもキャリアさんたちならともかく一地方の行政職員なんかはその他大勢の一人です。そこそこに残業はあってにしても、夜な夜な働かされるなんて思いもしてませんでした。
配属された部署にもよりますし、そのような部署も数年すれば転勤にはなります。しかしながら「せめて残業代くらい出せよ」と言いたかった。
夜はその日のうちに帰れれば、早い方でした。土日も出勤しないと仕事の締切に間に合わなかったのです。こうして月200時間に迫ろうかという残業実態になりました。
これくらいなら、今ではニュースにもされるようになってます。それで首でも吊られれば、しっかり労働問題にされるのです。
もらった残業代は月3~4万円でしたから、ざっと時給200円ではないですか!法定の最低賃金の何分の1でしょう?それでも何も知らずに当たり前のようにやっていた当時の自分は、今ではお人好しとしか思えません。
後で聞いてみれば、半年くらいの時期的な問題であったため、予算措置がうまくいかなかったのだそうです。はっきり言って、公務員の人事や待遇面の対応のやり繰りは下手くそなのです。
することが凝り固まってきちんとしているから、なかなか現状にスムースに対応できないという欠点がさらけでていたのでしょう。
それで、しょうがなかったのかお情けで上司の手出しで焼肉パーティをしてもらいました。良かったのは、たったそれだけでした。
いや「焼肉でパワーを付けてもっと頑張れ」のメッセージなのかと思えば、そう良かったとも思えなくなりますけど。
「なあに、若い時の苦労は年をとってから役に立つのよ」といわれましたが、それは嘘です。若い時に苦労すると年をとってから、ダメージが出てくるのです。
いつの世も、苦労に見合わない苦労なんかしない方が良いのです。もしいくら暇であっても、要らない仕事であればしないようにするのが正しい仕事の仕方なのです。公務員はそこのところが分かっているのでしょうか?
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